2012年02月27日

フリアミスタせんせいの進路指導(十三回目B)

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「わぁーー! この子かわいいですねっ!!」
「んー、そうですか?」

今日もフリアミスタさんのところにお邪魔しているキータ。
つぶらな瞳のイタチ型のぬいぐるみを持ち上げて大喜びです。

「なぜかその顔、私には小憎らしく見えるんですけどねぇ」

可愛く作ったつもりではあるんですけど、と
心底不思議そうに首をひねる首をひねるフリアミスタさん。

「あれ、このボタンなんですか?」
「あ……それは」

イタチのぬいぐるみのお腹に何か書かれたボタンを見つけて、
キータは即ポチッと押しました。

みょんみょんみょんみょん

「にゃー!? 頭痛が痛いですっ!」
「ちょっ、なにやってんれすかスカポンタン!!」

ぬいぐるみの口から発生した謎の音波でウギギギとなるキータ。
フリアミスタさんは慌ててキータからぬいぐるみを引ったくり
お腹のスイッチを押して音波をストップさせました。

ぬいぐるみの正式名称は"Quick Baffle”略してQB君。
わけがわからなくなる妨害電波を発するオートマタだったのです。



―――――――――――――――――――<本文続き>―――――――――――――――――



「うー、すいませんでした」
「別にい−ですよ。痛い目に遭ったのは自分ですし」

QB君を白衣の内ポッケに直して、
フリアミスタさんは「それよりも」と話を続けました。

「キータさんって」「あ、キータでいいですから!」

師匠と呼びはじめて以来、
敬称つきで呼ばれることを頑なに拒んでいるキータです。

「……えぇと、キータ」
「はい!」

ちょっと呼びにくそうに言い直すフリアミスタさん。
元気に答えるキータに、咳払いを一つ。

「キータは字、読めないんですかね?」
「え……あ」

キータはぬいぐるみのお腹のスイッチに
なにか文字が書いてあったことをキータは思い出しました。

「見慣れない字だったので……」
「一応、公用言語ってヤツで『発射』って書いてたんですけど」
「数字とか、あとお仕事で使うもの以外は分からないです」
「あー、やっぱりそーいうことですか」

キータの言葉に、フリアミスタさんは納得顔で頷きました。
最近お互いの生まれた世界について話題にしたので、
ちゃんとした教育を受けていないだろうとは思っていたのです。

「さすがに、読み書きは憶えておいた方がいーじゃないですかね」

バリバリの文明圏で育ったフリアミスタさんとしては、
15歳で満足に読み書きできないというのは少しいただけません。

勢いでそう呼ばせてるだけの師匠とはいえ、
相手はいたく自分に懐いている少女。
ちょっとは『どうにかしてやらないと』と思ってしまった
フリアミスタさんなのでした。





「キータは、“カメーリエ”って学校知ってますか?」
「学校ってなんですか?」
「そこからですか……」

キータの予想外の答えにちょっと途方にくれるフリアミスタさん。

「え、えーと、勉強は分かるですよね?」
「はい!」
「それを、たくさんの人間が集まってやる場所ですよ」
「わぁぁぁ〜……すごそうです!」

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故郷の村で子供のキータに勉強を教えてくれたのは村の長老様。
きっとあちこちの村から集まってきた長老様が一堂に会する
ものすごい場所に違いないとキータはワクワクしました。

「でも長老様ばっかりだとお世話する人が大変そうです……」
「いや学校はそういうのじゃないですから」

なんとなくキータの想像しているものが分かってしまって
げんなり顔のフリアミスタさんです。

「ともかく、その学校に入学してみたらどう?って話です」
「はぁ」
「いやキータがですよ?」
「わたしですか!?」

まったく話について行けていないキータでした。
ですが、キータの頭の回転速度に慣れてきたフリアミスタさん。
ちょっとギア比を落として話を続けます。

「その“カメーリエ”って学校じゃあ、
一般教養も……えーと、公用言語とかの勉強をしてるですよ」
「あ、それは嬉しいです!」

最近知り合った本の妖精さんから辞書を貰ったものの、
やはり独学での勉強には限界があります。
読み書きの勉強をさせてもらえると聞いて、
キータは俄然“カメーリエ”に興味がわいてきました。

その反応を確かめてから、フリアミスタさんは話を続けます。

「それにこの前、魔法が苦手って話してたですよね?」
「してました!」

それは武器作りの話の一環ででてきた話題でした。
魔法仕掛けの武器は、鍛冶職人のキータでは手も足も出ない。
二人はそんな話を最近していたのです。

「“カメーリエ”ってのは、なんと魔法学校なんですよ!」
「魔法学校?」
「よーするに、魔法の勉強ができるってことです。
ほらほら、苦手を克服するチャンス到来じゃねーですか?」
「はい! 通ってみたいです!!」

分かりやすいくらいあっさりと乗っかるキータでした。
進路指導の教師も、こんな生徒ばっかりだったら楽だろうなんて
どうでも良いことを思うフリアミスタさんです。

「んじゃ、パンフと場所教えるから、さっそく明日にでも――」

いつぞやの文化祭のとき持ってきたパンフレットを荷物箱から
取り出して、キータに渡そうとするフリアミスタさん。
その時、キータが不思議そうに首を傾げてこう言いました。

「あれ、師匠はその魔法学校に通わないんですか?」

「ふぇ? なんでそういう……」
「だってフリアミスタさんも、魔法とか苦手だって」

確かに、キータが魔法が苦手という話をしたときに、
フリアミスタさんも同じく苦手だと口にしていたのです。

「い、いや、さすがに今さら学校とかはれすね……」
「あ! 師匠も一緒に通いませんか? きっと楽しいですよ!!」

キータが良いことを思いついたって顔でそんなことを言います。
その言葉でフリアミスタさんの脳裏に浮かぶのは、
カメーリエの制服(中等部)を着てはしゃいでいる自分の姿。

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「……それはちょっと…………」

それはないわと拒否のポーズをとるフリアミスタさん。

「でもでも、苦手を克服するチャンス到来なんですよ!
せっかくだから一緒に頑張りましょうよ師匠!!」

憶えたばかりの言葉を使いたがる年頃のキータです。

「いやいやいやいや」

ぷるぷるぷると必死に首を振るフリアミスタさん。
ですが、キータからの執拗な『一緒に通いませんか?』攻撃は、
いつになっても止まりそうにないのでした。




ゲストさん:フリアミスタさん

posted by りの at 22:26| Comment(0) | キータの日記
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