2012年03月22日

制服を買おう!(十四回目E)

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今日のキータは、カメーリエ魔法学校に来ていました。
入学のための面接を終えて、廊下を歩いているところです。

「あ、あの……師匠って、もしかして……」
「? どうしたんですか」

キータの前を早足気味に歩いているのは、キータに学校に入る
きっかけを作ってくれた師匠・フリアミスタさんです。
ですが、キータは今日、驚くべき事実を耳にしたのでした。

「わたしより、すごく年上のひとだったんでしょうか?」
「……あぁ」

足を止め、ちょっと決まり悪そうに鼻の頭を掻くと、
フリアミスタさんはキータの方を振り返ります。

「そういえば会った頃に、同じ位の歳って言ってましたっけ」

そう、キータはフリアミスタさんが実は年上だったことを
同席していた面接の席で初めて聞いたのでした。


―――――――――――――――――――<本文続き>―――――――――――――――――



「すいません! 師匠のこと、てっきり同じくらいの歳なのかなー
って勘違いしちゃってました!!」
「は、はぁ……いや、別にいいですけど…?」

『サバ読んでやがったなー!』なんて展開になるかと思ったら
単にキータがペコペコバッタになっただけでした。

「あぅぅぅぅ、ごめんなさいごめんなさい〜……!」

実はキータの『師匠と学校に一緒に通う!』という発想は、
自分と師匠が同年代だという誤解を基にしていたのです。

「ほ、ほら! 入学しようと思ったのはこっちの判断れすし?
結果オーライってことで別にいいれすからっ!」
「そ、そうなんですか?」
「魔法に興味があるのはホントですからね。
せっかくだから、私はキャンパスライフを楽しむれすよ!」

というか、今さらキータに『年上なのに学校通うなんて』とか
言われると逆にダメージを受けるフリアミスタさんです。
職員室に戻って『やっぱやめます』なんて恥ずかしすぎますし。

「あー、それとも……
もしかして、キータは私と一緒に通うのはイヤ…とか?」

ちょっと躊躇って、フリアミスタさんはふと思い浮かんだ
意地悪な質問を口にしました。

「そんなことはないです! 嬉しいです!!」
「お、おぅ、そうれすか……」

あまりの即回答ぶりにちょっぴり照れるフリアミスタさん。
予想通り、期待通りの答えですが、やはり嬉しくはあります。

「それじゃ、おたがい問題はないですね?」
「はい!」

こくこく頷くキータの頭をぺしぺしすると、
フリアミスタさんは廊下を再び早足で歩きはじめました。

「それじゃ、キータ、ついてくるですよ!」

フリアミスタさんは、着た時に通った、
学園の玄関へと向かう通路とは逆の道を歩いていきます。
そのことに気づいたキータが不思議そうに尋ねました。

「あのあの、師匠、どこに行くんでしょうか?」

歩きながらキータの方に半分振り返ると、
フリアミスタさんはニヤリと笑ってこう答えます。

「どうせここに通うなら制服は必要になりますから。
私のを買うついでに、入学祝いに一着買ってあげます!」
「えええええええ!?」
「まぁ、ほら、これでも年上? ですし、ね!」

ちょいと面接で顔を合わせた相手に思うところがあって、
どうももやもや気分になりかけていたところ。

「いえでもお金とか! 高いんじゃ……」
「ほらほら、さっさと行きますよ! 師匠命令です!!」

気晴らしついでに、ちょっと先輩風を吹かせてみるかと
思い立ったフリアミスタさんなのでした。





「しっかしここの購買部、試着室まであるんですね……」

制服を購入しようと訪れたカメーリエの購買部には、
制服のサイズとかの確認のための試着室があったのでした。

「まぁ、まだどこの学部に入るか決めてなかったから、
ちょーどいいって言えばちょーどいいですけど」

制服のデザインでどの学部に通うか決めてもいいかも。
そんなちょっとした思い付きで、
フリアミスタさんは一通りの制服を試すことにしたのでした。

「しっかし、こういう服のデザインって世界が違ってても
だいたい似たようなモンになるんですかねー」

最初にフリアミスタさんが着ることにしたのは、
リラ(高等部)の制服。
いわゆるブレザータイプの制服でした。

そして、キータはそれより一つ下のローザ(中等部)の制服を
着ることにさせたのですが……。

「うぅぅ…、なんだか首がきゅーって……」
「ちょ、締めすぎれすよっ!? ネクタイは緩くで!
……ああもう、緩めてこうです! こう!!」

あんまりうまく着れてないのでした。

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「んー……ま、こんなもんですかね?」
「うぅ〜、なんだかまだ首がきゅーきゅーします……」

鏡の前で軽くポーズなんぞとってみるフリアミスタさん。
こうしてみると、普通の学生みたいにみえるから不思議です。

「しっかし、ちょっと胸とかキツいかと思いましたけど
ふつーに合うサイズがありましたね……」

やっぱ自分ぐらいのサイズは普通なのかと、セルフォリーフの
巨乳の雄大さに思いをはせるフリアミスタさんなのでした。





次に着てみることにしたのは、ヴァイス(小等部)の制服。

「師匠、この制服、着やすいしゆったりしてていい感じです!」
「……さすがにこれは無理れすね」

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ローブを二枚重ねた着やすいデザインに喜んでるキータと、
ついに着ることを断念したフリアミスタさん。

「いやさすがに小等部には通いませんけど。通いませんけど」

身長とか肩幅的には大丈夫でも、さすがに胸サイズ的に無理で
世紀末覇者のごとく内側から服を破れそうになったのでした。

なんで着ようと思ったのかは謎です。ノリってこわい。

「師匠! これがいいです!!」

そんな師匠をよそに、よほどヴァイスの制服が気に入ったのか、
嬉しそうにぴょこぴょこ跳ねてるキータ。

「……そういえば、キータって歳はいくつでしたっけ?」
「かぞえて15です!」
「15歳……」

自分のいた世界の15歳とか、15歳の頃の自分を思い出して、
なんだか微妙な気持ちになるフリアミスタさん。
自分よりよっぽどキータの方が年齢詐欺な気がするのでした。





最後に着ることにしたのはゲルブ(成人部)の制服。

「マントですか…白衣に重ね着ってのはないですよねぇ」

キータに白衣を預けてマントを羽織ってみるフリアミスタさん。
ちょっとコスプレ気分ですが、制服なのでぜんぜん合法です。

「…へ、へぇ〜? ちょっとかっこいいれすね……」

紋章の入ったバックルとか、鎖とか付いた黒マント。
デザインを見た時はちょっとゴテゴテしぎてて引いたものの、
着てみるといかにも魔法使いな雰囲気でかっこいい。

「ふぁいやーぼーるっ、……なんちゃって!」

ついつい鏡の前でいかにも魔法使いっぽいポーズをとってみる
フリアミスタさんなのでした。
もちろん、すぐ我に返って周囲を見回すオプションつきです。

ですが、呆れて見ている観衆の代わりにいたのは――――

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「にゃわわわわわわわわわ〜」
「ちょっ!? なにやってんれすかっ!!」

師匠の白衣を羽織って、珍妙な悲鳴を上げるキータ。

ほんの出来心で師匠の白衣を羽織ってみたところ、
フリアミスタさんの発明である『マッサージ機能付き白衣』に
マッサージされて悲鳴を上げる羽目になったのでした。

「早く止めるれすよ! うで! うでのところのスイッチ!!」
「ひぁぁぁぁぁん」
「すとっぷ! すとっぷです!!」

ちょっと大惨事になりましたが、白衣は無事回収されました。





「なんか最後が散々でしたけど、一通りは着れましたねー」

試着室から軽く追い出されて、表の購買部に戻った二人。

「あうぅぅぅ〜…まだ背中がぞくぞくします〜……」
「そ、そういうのははやく忘れるれすよっ!」

赤面してもじもじしてるキータを見てると、なんかものすごく
よろしくないことをした気がしてくるフリアミスタさんでした。

「そ、それより制服! サイズはあったんですよね!?」

これはいかんと強引に話を戻すフリアミスタさん。
キータは15歳なので、カメーリエの制度に従うと
基本的にはローザ(中等部)に入ることになっています。

「できればヴァイス(小等部)の方がいいです……」
「まぁ、制服的にはたしかに似合ってましたけどねー」

ぴょこぴょこ跳ねてたキータを思い出してクスリと笑う
フリアミスタさんですが、続く言葉は真逆のもの。

「でもきっと、キータみたいな子はちょっと背伸びする
くらいが丁度いいです」

まだ短い付き合いですが、キータの知識の吸収力からして
そうした方が本人のためになると分かっての言葉でした。

「えー!?」

そういうわけで、キータの悲鳴をスルーしつつ
購買部の店員に頼んで制服を購入するフリアミスタさん。
キータにローザの制服と、自分用のゲルブの制服です。

「ま、チョロっと通ってれば自然と馴染むもんですよ」
「そういうものなんですか?」

まだちょっと心配そうにしているキータが尋ねると、
フリアミスタさんはほんの少しだけ物思いに沈みました。

ほんの少しだけ。

「……ま、キータなら大丈夫ですよ!」

そう言って、キータに購入したばかりの制服の入った紙袋を
押し付けるように差し出すフリアミスタさん。

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ふぎゅ、と押し付けられたそれに驚いて目を瞬かせたあと、
キータはおそるおそる受け取ったのでした。



ゲストさん:フリアミスタさん


posted by りの at 21:43| Comment(0) | キータの日記
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