2012年03月28日

新兵器開発と食べられないお菓子の話(十四回目F)

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「わ……キータさん、なにを作ってるんですか?」

今日のお客様は、様子を見に立ち寄ってくれたメリムさん。
メリムさんは、野営地の外に置いた作業台の上で
なにやら怪しげな作業をしているキータにそう尋ねました。

「あっ、メリムさん、こんにちは!」

作業をする手を休め嬉しそうに顔を上げるキータ。

「えっへっへー、実は雑貨屋さんから余りものの商品を
たくさん頂いたので、それで新兵器を作ってるんですよー!」

その言葉に首をかしげるメリムさん。

「新兵器、ですか……?」
「はい! 新兵器です!!」

そう答えるキータの手の中にあるのは、手のひらサイズの
平べったいプラスチック器と怪しげな液体入りのスポイト。
そして目の前の作業台の上に置かれているのは、
不気味泡立つ液体の浮かぶ試験管と、透明な水の入った小瓶。

それはどうみても鍛冶職人とは関係のない作業光景なのでした。


―――――――――――――――――――<本文続き>―――――――――――――――――



キータが雑貨屋さんから仕入れたのは聖水1ダース。

「武器を打つときの冷却水にしたら聖なる力が付くかも!って
思って購入したんですけど、面白い使い道を発見しまして!」

この聖水、なんと以前にキータが知り合いからたくさん頂いた
『服だけ溶かす液体』に触れるとなぜか爆発するのです。

「あの……それ、安全なものなんですか?」
「ご本人によると『飲んだりしなければ大丈夫』だそうです!」
「…………うーん」

そんな聖水と謎液体の性質を利用してキータが作ったのが、
聖水と謎液体を内蔵して、衝撃で爆発する小型地雷なのでした。

「あんまり爆発はすごくないですから、まだ改良の余地は
ありますけど、敵をびっくりさせるには十分です!」
「地雷、ですか……」

ちょっと難しい顔になるメリムさん。
てっきりキータが火薬の調合でもしてるのかと思っていたら、
予想外の答えが返ってきて反応に困ってしまったのです。

「それなら……」
きゅるるるるるるるるるるるる

メリムさんの言葉を、唐突に謎の音が阻みました。

「ちょっ、キータさん、もしかしてまた…………」

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そうです。謎の音の正体はキータのハラペコの音なのでした。

「いえあの……ついつい、また街から持ってきたお野菜を
合成してなかなかの物体にしちゃいまして……!」
「もう……キータさんっ!
ちゃんと食事は摂るようにって言ったばかりですよ?」

ちょっとだけ怒った顔をしてみせるメリムさん。
とはいえ、おなかを鳴らしてぐったり作業台に突っ伏している
キータを前にしては、どう言った物か困ってしまいます。

ふとメリムさんの頭に疑問が浮かびました。

「ちょっと前にあげたお菓子はどうなったんですか?」

メリムさんはつい最近、キータに生チョコレートで作った
タルトをプレゼントしたばかりだったのです。
それも、お腹を空かせているキータのためにと少し多めに。

メリムさんが尋ねると、キータはぴょこっと立ち上がり、
すぐに荷物の中から小さな紙の箱を取り出しました。

「あ、はいはいはいっ! あります、ここに!!」

それは、生チョコレートのタルトが入った紙の箱そのもの。

「……どうしてまだ封を開けてないんですか?」

箱の蓋に貼られたシールがそのままになっている箱を見て、
メリムさんはきょとんと目を瞬かせて尋ねました。

その質問に、キータは恥ずかしそうに答えます。

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「……メリムさんと食べたいなって思ったんです……けど」

ダメでしょうか、とぼそぼそと尋ねるキータ。
まだきょとんとしているメリムさん。

「あの、その……一人だともったいないっていうか!
なんだか恐れ多くて箱を開ける勇気がわかなくてですね!!」

なぜかテンパったキータが一人申し開きを開始したところで、
やっと驚いていたメリムさんの顔がゆるりと緩みました。

「それでは、一緒に食べることにしましょう。
別に、遠慮なんかする必要はありませんのに」

ちょっとだけ困ったような笑顔でそう答えるメリムさん。
キータの顔は日が差したように笑顔に変わります。

「それじゃ、せっかくですから飲み物をいれましょうか?
キータさんは紅茶と珈琲、どちらがお好みですか?」

ふわりと暖炉の側にいくと、メリムさんは荷物袋から
お茶の道具を出して、笑顔でキータにそう尋ねるのでした。



ゲストさん:メリム・ファルトリアさん


posted by りの at 20:28| Comment(0) | キータの日記
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