
「うわー、なんですかコレ! すごいです!
なんだか浮いてます! ひとりでに動いてます!!」
本日はフリアミスタさんのところにお邪魔しているキータ。
ふわふわと野営地を浮いていた物体を見つけて騒いでいます。
その物体の正体は、【E-KD13】かんたんドラグーンくん。
フリアミスタさんが発明した武器なのでした。
「ああ、それ見るのはじめてでしたっけ?
前から同じようなの、ずっと使ってたんですけど」
標的を指定すれば念じるだけで自動で攻撃してくれるという
天才科学者フリアミスタさんならではの武器です。
「師匠! これ作ってみたいです!!」
「えっ」
「これどうやったら作れるでしょうか?」
「えーと・・・」
無理だと思うけど、なんかうっかり作りそうで怖い。
期待のまなざしを向ける自称弟子を見ながら、
どう返事したもんかと悩む、フリアミスタさんなのでした。
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◆
『同じものを作るにはどーするか、自分で考えるのれすよ!
こ、こう・・・自分の発想力を磨きなさい・・・的な?』
『分かりました師匠! 自分でやってみます!!』
思念誘導で動く浮遊兵器の作り方とか教えるのも面倒なので、
そんなやりとりでその場は片付いたのですが――――。
その翌日には、はりきった様子のキータがやってきました。
「師匠! できました!!」
えー、という顔を浮かべるフリアミスタさん。
いくらなんでも開発期間が短すぎです。
「えへへー、見てください!
師匠の武器にあやかってファンネルちゃんと名付けました!!」

キータが取り出した『ファンネルちゃん』とやらは、
たしかにフリアミスタさんのドラグーン君に似ています。
・・・ですが、全体的に丸っこくて、先端に顔が描いてます。
「な・・・なんか懐かしい気がする見た目ですねぇ?」
故郷の世界の古いゲームに出てくる、
顔のついた大砲の弾を思い出すフリアミスタさんでした。
「それで、これはちゃんと動くんですか?」
「もちろんですとも!」
自信満々に胸をどーんと叩くキータ。
さっそくファンネルちゃんのスイッチを入れます。
「ファンネルちゃん、起動!」
即座にまっすぐ宙を飛んでいったファンネルちゃんは、
その辺の木にぶつかって落ちました。
「えええ!?」
「ああ、やっぱり・・・」
飛ぶだけでもすごいなぁ、とか思うフリアミスタさん。
浮いてるのは恐らく魔法仕掛けでなのでしょう。
「魔法のペンでモノに顔を描いて、生き物みたいに動かす
・・・っていう予定だったんですけど・・・」
おかしいなぁ、と、ファンネルちゃんの顔を覗き込むキータ。
ためしにスイッチを入れてみます。
キータの顔面をアッパー気味に捕らえるファンネルちゃん。
「にゃーっ!?」
ごろごろと転がったキータを、
ファンネルちゃんは笑顔のままさらに追撃していきます。

「ま、これはこれですごいんじゃないですかね?」
あんまり制御できてないとはいえ、
自動で目標を追尾するミサイルみたいなもんですし。
そうは思うものの。
自分の作った武器に追っかけ回されているキータを見て、
褒めるべきなのかどうか悩む、フリアミスタさんなのでした。
ゲストさん:フリアミスタさん